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2012年02月29日 前へ 前へ次へ 次へ

チャレンジ精神を称賛する社会

 新薬創製の道程に「死の谷」という難所がある。大学などアカデミア(学術研究機関)で生まれた医薬品候補物質が、実用化を担う製薬企業での研究開発につながりにくいことを比喩したものであり、この克服が大きな課題になっている▼候補物質がアカデミアと企業で直結していける場合には死の谷は存在しないが、そうしたケースは多くない。そこで橋渡し役となるバイオベンチャーの重要性がかねて指摘され、ベンチャーの育成や支援に国も力を入れている▼第2次バイオブームとされた2000年前後は、大学発を中心にバイオベンチャーの設立が相次いだ。しかし研究に長期間を要する創薬系を中心に、いまだ赤字続きのベンチャーが多い。運営資金の調達はさぞや大変だろうと思う▼米国ではジェネンテック社やアムジェン社のように急成長したバイオベンチャーもあるが、成功例は一握りである。米国で創薬ベンチャーを立ち上げた日本人から聞いた話だが、同国でもベンチャーを起業するのは稀だという▼日本との大きな違いは人材の流動性で、ベンチャーの目的に共感し、優秀な人材が安月給でも飛び込んでくるというから、社会的な土壌が違うのだろう。ベンチャーにリスクはつきものであり、チャレンジ精神を称賛する社会にならないと死の谷はなくならない。


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