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2011年08月30日 前へ 前へ次へ 次へ

『震災とサプライチェーン』化学品需給を追う 過酸化水素

三菱ガス化学過水.jpg※過水 正常化に3カ月※ ※最大手が被災、7割停止※

 「このままでは過酸化水素の供給が途絶えてしまう」。東日本大震災の発生から一夜明け、各地の被害がみえてくるなか、ある知らせを聞いたある国内過酸化水素メーカー幹部は戦慄を覚えた。それは国内最大規模の三菱ガス化学の鹿島工場(茨城県)が震災により完全停止したとの内容。日本パーオキサイドの郡山工場(福島県)も被災し、国内生産能力の過半数が止まってしまった。

※計画停電追い打ち※
 これに追い打ちをかけたのが、東京電力福島第1原子力発電所の事故に由来する計画停電の発動だ。過酸化水素は製造プロセスの関係上、設備の連続運転が求められる。「突然、電気が止まってしまうと品質に影響が出る」(国内メーカー幹部)ことから、東京電力管内に生産拠点を置くADEKAも富士工場(静岡県)での稼働停止を余儀なくされ、3月末の時点では国内の設備能力の7割超が操業停止に追いやられた。
 過酸化水素は紙・パルプの漂白をはじめとして多くの産業に使われる。近年は需給バランスが均衡していたが、震災により一転、供給難に陥り、多くの産業から悲鳴が上がった。各社は供給制限と在庫出荷でしのぐとともに、海外からの緊急輸入も行うなど供給責任を果たすべく矢継ぎ早の対応に追われた。

※半導体向けも懸念※
 こうした供給側の一挙一動に注視していたのが半導体関連業界。過酸化水素は半導体の洗浄液などに使う超純過酸化水素向けの需要も少なくなく、3社の操業停止が長引くと電子化の進む自動車生産にも支障が出る可能性があった。
 経済産業省もこうした事態を憂慮。「操業再開には何が必要か教えてくれとの問い合わせたがきた」と、別の過酸化水素メーカー関係者は打ち明ける。必要ならば電力や燃料の優先供給もあり得る状況だったようだ。
 6月に三菱ガス化学の工場が全面復旧したことによって、国内の需給バランスは3か月以上かかってやっと正常化した。今回の震災では数多くの教訓を各社に残すこととなった。

※備蓄能力を2倍に※
 「ガソリン不足での通勤困難者は想定していなかった」。日本パーオキサイド関係者はこう振り返る。震災前から事業継続計画(BCP)は作成したものの、ガソリンや軽油の不足は織り込んでいなかった。「現実に起こった内容を検証しながら」BCPの見直し作業を進めている。
 国内最大手の三菱ガス化学は、四日市工場(三重県)の備蓄能力を増強する予定だ。現在の能力の2倍に相当する「2ー3カ月程度に高めたい」と同社の担当者は語る。夏前に打ち出した値上げの一部を原資に充てたいとしている。
 安定供給体制の構築に各社は力を注ぐものの、半面で過酸化水素を取り巻く国内事業環境は決して明るいとはいえない。8月には日本製紙が生産能力を15%削減する意向を明らかにした。主力用途である紙・パルプ向けの前途は厳しい。
 「BCPは確かに必要だが、需要が減る場所に新たな投資はできない」との声も複数の過酸化水素メーカーから上がる。各社の努力だけでは限界がある。官民が一体となって、非常時には工場間で玉融通を行うといった新たな知恵が求められる。
    (随時掲載)
【写真】三菱ガス化学・鹿島工場の過酸化水素プラント(被災前)


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