住友ゴム工業は、「第45回東京モーターショー2017」で新たな技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマート タイヤ コンセプト)」を発表した。安全性能と環境性能をより高い次元で両立することを目指し、安全を支えるセーフティーテクノロジーと環境に寄与するエナセーブテクノロジー、シミュレーションおよび解析技術からなるコアテクノロジーの3技術をベースとする。新コンセプトをベースに、2020年を目標に新品時の性能を長期間維持する「性能持続技術」を採用したタイヤの量産化と、LCA(ライフサイクルアセスメント)の観点から商品ライフサイクル全体の環境性能向上を可能とする新材料を使ったコンセプトタイヤの実現を目指す。

 急速に進展する自動車のEV(電気自動車)化シフトを背景に、車体を構成する部品・システムについても、これまでにない発想で高機能化を目指した研究開発が活発化している。そうした状況のなか、日本精工では保有する高度なボールねじ技術とモーターの融合により、5本のアクチュエーターがまるで生き物のような自在な動きを実現する「バリオリンク サスペンション」を新たに開発した。サスペンションの最適なジオメトリを作り出すまったく新しいコーナーモジュールとして提案する。

 横浜ゴムが新たにマテリアルズ・インフォマティクス(MI)によるゴム材料の開発技術を確立した。これまで独自に研究を進めてきたシミュレーション技術と実際のゴムを使った設計・加工、分析・計測の研究結果から得たデータを統合し、AI(機械学習)による情報・知識探査を導入した。新開発技術では粗視化分子動力学シミュレーションも新規導入しており、高機能なゴム開発の精度、スピードの飛躍的向上と、今までにない新たな開発アプローチの発想を得ることが期待できる。

 豊田合成は、従来品よりサイズを拡大したメッシュ形状の「大型ラジエータグリル」を開発した。成形時の樹脂の流動シミュレーション技術などを用いて金型の構造を工夫することで、複雑なメッシュ部品の一体成形化に成功した。上下を組み合わせる付属部品が一体成形により不要となり、サイズを従来比約10%アップしつつ軽量化を実現している。すでに同製品はレクサス新型LSに採用されており、採用拡大を図っていく。

 豊田合成は、車内の静粛性向上と自動車側面のスタイリッシュな外観を実現する「新構造ガラスラン」を開発した。製品設計の工夫により断面形状を変更し、ガラス面とセンターピラーの段差をなくすことに成功。これにより段差部で発生していた風切り音を減らして車内の静粛性を向上するとともに、フロントとリアのガラスを継ぎ目なく一体的に見せることでスタイリッシュな外観実現を可能とした。すでに同製品はLEXUS新型LSに搭載されており、同社ではプレミアムセダンなどに展開していく。

 住友理工は、自動車関連事業の電気自動車(EV)対応を加速する。急激に進むEVシフトに対応するため、高機能化や置き換えが予想される部品開発を強化すると同時に、独自のセンサー技術などを活用したシステム製品の提供に乗り出す。営業面では欧米系自動車メーカーへの拡販とともに、ホースシステムなどの技術支援をベースに新興メーカーの取り込みを本格化する。拡大が見込まれるシール部品ではグループ体制の見直しなども検討する考えで、変化する市場環境への対応を急ぐことで同事業の成長性を確保していく。

 日立金属は、次世代自動車の車載用ノイズフィルター向けにナノ結晶軟磁性材料「ファインメット」を使用した「コモンモードチョークコイル・コア」を開発した。「FT?3K10Q」シリーズは独自技術により、キロヘルツ?メガヘルツの幅広い周波数領域で従来材比10?30%の高インピーダンスを実現した。また、低温?高温でのインピーダンスの変動が小さく広い温度環境下で、車載電装品の安定化を図ることが可能。同社では、2018年1月からサンプルワークを開始する計画。

 日本精工は、自動車の電動化に対応した独自製品の開発・実用化を加速する。歯車を使わずに特殊なオイルを介して動力を伝える電気自動車(EV)駆動ユニットでは、動力伝達機構の見直しによりフリクションの低減化を実現。2モーターシステムを採用した独自のインホイールモーターでは、モーターの設置方式の改良により約40%の薄型化に成功。ホイールからのはみ出し幅を従来比3分の1とすることで車両搭載性を向上した。いずれも「第45回東京モーターショー2017」に出展する計画。

 日本精工は、密封性能と低フリクションを高次元で両立する接触シールを開発した。高度なFEM(有限要素法)による構造解析をベースにシール形状を最適化することで、軸受け内輪に対するシールの押し付け力(リップ反力)の最小化を実現。高密封接触シールと同等の防水性を確保しながら、低フリクションシールに対して85%の低フリクション化を可能とした。同社では幅広い用途分野で使用される深溝玉軸受けで採用する計画であり、2021年に軸受け売上高で年間25億円を目指す。

 独タイヤメーカーのコンチネンタルタイヤは、新たに独自のタイヤ技術コンセプトを開発した。タイヤに内蔵したセンサーを利用してトレッドの深さと温度を測定し、タイヤの損傷をドライバーに警告する導電性ゴムによるデータ伝送技術「ContiSense(コンチセンス)」と、タイヤの空気圧とリム幅を調整し、路面条件に応じた接地面積を実現する「ContiAdapt(コンチアダプト)」の2つ。いずれも自動運転と電動化のニーズにタイヤを適用させるもので、いずれも2017年フランクフルトモーターショーで展示した。

 IoT(モノのインターネット)技術を応用したタイヤ事業の高度化の取り組みが活発化している。タイヤをセンシングデバイスとし、ネットワークを通じて複数車両のデータを一元管理することで、メンテナンスなど効率的な車両運行を目指す。ブリヂストンや日本ミシュランタイヤがトラック・バス(TB)用タイヤ向け管理システムの実用化を推進する一方、米グッドイヤーはカーシェアリング向け半自動運転の電動車両への提供を開始した。すでにタイヤを利用したセンシング技術では路面状況の把握なども可能としており、ビッグデータの活用によって交通インフラ技術への展開が期待される。

 JFEスチールは、1000メガパスカル級の高強度とニッケル(Ni)含有合金鋼粉と同等の高靱性を実現した粉末冶金向けのNiフリー合金鋼粉「FM1000S」を開発した。新たに粒子形状を不定形化し、粒子表層にモリブデン(Mo)を濃化することで焼結部品の組織中にある空孔を微細化することに成功。これによりNiを添加することなく、4%Ni合金鋼粉と同等以上の高強度と高靱性を実現した。採用により大幅なコストダウンが可能になることから、同社ではスプロケットなど自動車のエンジン・トランスミッション部品への適用を目指す。

 NOKは、独自配合の水素化ニトリルゴム(HNBR)の普及拡大を推進する。同社の素材は他社製HNBRに比べて引っ張り強度と伸びに優れており、新たに高圧の油圧用途向けに同素材を採用した高強度Oリングの提案を開始した。このOリングは、高圧下での長期間安定したシール特性を実現しており、単体で使用できるのが特徴。採用により装着のための溝幅を狭くできるほか、バックアップリング削減による組み込み作業の効率化や、部品数削減による低コスト化が可能。同社では高度化する市場ニーズを背景に、性能を訴求していく。

 山陽特殊鋼のニッケル・モリブデンフリーの高強度肌焼鋼「ECOMAX(エコマックス)4」が主に自動車の駆動系部品向けに採用が進んでいる。高清浄度鋼製造技術をベースに希少資源を使用せずに高強度化を実現するとともに、浸炭用鋼の課題である熱処理変形の軽減に寄与する点が評価されている。部品の小型・軽量化や寸法形状の高精度化、製造工程の省略・簡略化によるコスト低減に貢献することから、より一層の普及拡大が期待される。

 日産自動車は、自動車エンジンの生産工程で用いる独自技術「ニッサン・マシニング・ラフニング・プロセス(NMRP)」のライセンスをドイツの工作機械メーカー大手であるヘラー・マシーネンファブリークに供与した。同技術は、ピストンが上下運動する筒状のスペース(シリンダーボア)を摩擦や熱から保護するために、溶けた低炭素鋼を吹き付ける(溶射)ことにより約0・2ミリメートルの鉄系溶射被膜を成形。既存の鋳鉄製ライナーを代替する軽量・低燃費化技術として注目されている。今後、NMRPを利用したヘラー製マシンの導入により、エネルギー効率の高いエンジンを量産することが可能となる。

 空気充填を不要とする自動車タイヤ(エアレスタイヤ)の開発が活発化している。パンク防止や空気圧管理などのメンテナンス負担の軽減化を目的に、国内タイヤ各社がコンセプトタイヤを相次いで発表。東洋ゴム工業は軽自動車に装着した場合に時速120キロメートルでも問題なく走行できる耐久性を実現した。海外ではすでにミシュランが建機・農機用タイヤ「X TWEEL」を商品化しているほか、国内でもブリヂストンが開発技術をベースに、自転車用タイヤで2019年の実用化を目指す。安全性や環境性能をはじめ乗り心地や静粛性など高次元のタイヤ性能が求められる自動車タイヤで実用化できるか、今後の動向が注目される。

 東洋ゴム工業が、空気充填不要の近未来型エアレスコンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」を発表した。独自の「X字型スポーク構造」の開発により軽自動車に装着した場合に時速120キロメートルでも問題なく走行できる耐久力を実現。同社が市販する空気入りタイヤと比較して転がり抵抗値で25%、WET制動距離で4%の性能向上を可能とする。8日に開催された説明会では、守屋学技術第一本部長が「将来的に、日本ではメンテナンスフリーのタイヤは必ず必要になると考えている」と新コンセプトタイヤの開発意義を語った。

 米グッドイヤーは、タイヤ原材料として新たに大豆油の商業的利用に乗り出す。添加することで気温が変動するなかでもゴムコンパウンドの柔軟性を維持・強化し、タイヤにとって重要な路面グリップ性能を向上することに成功。また、大豆油を使用した場合にコンパウンド中のシリカ化合物との混合がより容易になることを明らかにした。同社では、大豆油の採用によりドライ/ウエット路面や冬季天候におけるタイヤ性能の強化を推進する。

 真壁技研(宮城県仙台市)は、アルミ合金鋳物の機械的性質を向上させる組織微細化剤を開発した。ガスアトマイズ法で製造した球状微細化剤(AlTi粒子)を放電プラズマ焼結でペレット化したもので、AC4A合金に対する評価試験で同微細化剤の添加により引っ張り強度、伸びともに約2倍の特性向上を確認ずみ。同時に量産に向けたパイロットプラントを開発しており、自動車などアルミ系部品の鋳造・ダイカストメーカーなどを対象にサンプル供給を開始し、量産プロセスにおける新組織微細化剤の有効性の確認などを進める計画。

 九州大学大学院工学研究院の堀田善治主幹教授の研究グループは、長野鍛工(長野市)と共同で航空機や自動車のエンジン部品などに使用されるニッケル基超耐熱合金(インコネル718)を高成形性に改質する実用化技術を開発した。開発ずみの高圧スライド加工技術(HPS法)と逐送法を組み合わせることで加工サイズを実用レベルにまで大きくすることに成功した。HPS法はチタン合金(F1295)にも適用できることが確認されており、今後は自動車、航空機、医療機器など幅広い市場で開発成果の適用が期待される。

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