神戸製鋼所、マルチマテリアル化を加速、意思決定など迅速化

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 世界的に強まる燃費規制を背景に、新車開発の現場ではマルチマテリアル化の取り組みが進展している。中期経営計画で成長戦略の一つに輸送機軽量化の取り組みを掲げる神戸製鋼所では、最先端の鉄鋼およびアルミ材料と溶接技術をベースにしたソリューション提案力の強化を推進。4月にはマルチマテリアル化技術に特化した自動車ソリューションセンターを設立し、鉄とアルミを有する唯一の素材メーカーとして世界市場におけるプレゼンス拡大を狙う。

 各国のCO2排出規制の動向をみると、韓国が2020年に97グラムCO2/キロメートル、EUが21年に95グラムCO2/キロメートルを目標値とするほか、米国でも25年に97グラムCO2/キロメートルと設定するなど20年を境に1キロメートル走行当たりの排出量が100グラムCO2を割り込む水準に突入する。こうした状況に対応するため、自動車各社では電気自動車(EV)など化石燃料消費を低減するパワートレインの開発を活発化させているが、100キログラムの車重軽減で14グラムCO2/キロメートル低減できることから「(自動車メーカーにおける)軽量化とパワートレインの開発比率は3対7」(同社)とさらなる軽量化に取り組んでおり、その主要開発テーマとなっているのが異なる素材を組み合わせるマルチマテリアル化だ。
 これまでの「鉄の使い切り」からマルチマテリアル化へと市場がシフトするなか、同社では事業部門をまたがるマーケティング力・軽量化提案の強化を目的に本社経営企画部内に自動車軽量化事業企画室を新設。また、全社自動車プロジェクト担当役員を配置することで、意志決定の迅速化と全社横断の戦略推進体制を強化した。新たに技術開発本部内に設立した自動車ソリューションセンターでは、「超ハイテン」「アルミ」の知見を有し「溶接材」を展開する強みをベースに、マルチマテリアル化に関するソリューション提案力の強化を担う。
 同センターは、マルチマテリアル構造研究室とマルチマテリアル接合研究室で構成される。神戸総合技術研究所にある構造研究室では素材の特徴を生かして車体構造と部品・加工品の設計・試作・評価に関する研究開発を行っており、衝突シミュレーション技術やバリア衝突試験などをベースに軽量化と安全性を向上する独自の構造コンセプトの開発を推進中。技術動向調査として行っている実車両の分解調査では、1台/年のペースで欧米車を主に特徴的な車種を選択して実施しており、素材別の使用比率や適用個所、接合法などをベンチマークしており「(素材メーカーとして)現物をみながら会話することで自社の技術開発やユーザーとの協同開発につなげる」(同社)考え。
 溶接事業部門の研究開発拠点(神奈川県)に置く接合研究所では、新たな接合技術の開発とともに、ユーザーの製造ラインに実適用するための装置・制御・補助材などの実用化技術開発を統括。国内外での提案活動を開始したエレメントアークスポット溶接法(EASW)も既存のアーク溶接装置での活用を可能としている。
 神戸総合技術研究所に設けた接合研究所の分室で接着接合に関する開発を進めており「樹脂についても取り組んでいる」(同社)。新車開発においてマルチマテリアル化が進展していくのは確実であり、自動車ソリューションセンターにおける開発成果が期待される。

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このページは、web staffが2017年7月 6日 13:54に書いたブログ記事です。

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