産総研、フッ素ゴム製Oリングの高温・高圧耐性を向上

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 産業技術総合研究所は、単層カーボンナノチューブ(SGCNT)を用いてフッ素ゴム製Oリングの高温・高圧耐性を大幅に向上することに成功した。開発品は230度Cで500時間以上のシール性を保持するほか、フッ素ゴムが熱劣化・分解する400度Cを超える高温環境下でもSGCNTの繊維補強効果により形状を維持する。マイナス15度Cでも柔軟性を損なわない低温特性も有しており、広い温度範囲で使用できる。自動車をはじめ高温・高圧耐性が必要な化学プラントや発電用途、長期耐久性が必要とされる石油掘削やガスケット代替などの過酷環境下におけるシール用途への応用が期待される。

 配管や容器からの漏れ防止を目的にさまざまな材質のシール部材が開発実用化されており、代表的なシール部材のOリングは温度変化による漏れが生じにくく取り扱いが容易で繰り返し使用できるといった特徴がある。150度C以上の高温環境下で使用するゴム製シール部材には、球状のカーボンブラックを配合したフッ素ゴムが使用されているが、産業技術の高度化を背景にさらなる高温・高圧耐性とそれを長期にわたり保持する長期耐久性が求められている。
 産総研では、これまでにフッ素ゴムにSGCNTを複合化した耐熱性や耐熱水性の高いゴム材料や、フッ素ゴムへのSGCNTの分散技術を開発してきた。また、ゴム製シール部材では繊維状の構造を持つSGCNTをゴム中に分散した場合、ゴムの変形に対する復元力(弾性回復力)が低下することも明らかにしている。
 こうした技術・知見を基に、今回はSGCNTとカーボンブラックを併用するとともに配合比率と混錬・架橋工程を最適化することで、ゴムの復元力と部材の高温・高圧耐性を両立した新規ゴム部材の開発に成功。それを用いたOリングは、230度Cの引っ張り試験で高い反発力でシールし、高圧耐性を有することを示したほか、500時間を超えても圧縮永久歪みが80%に到達せず市販品と同等以上のシール耐久性能を有することを確認している。
 また、フッ素ゴムが熱劣化・分解する高温下での熱劣化試験(420度C、3時間、窒素雰囲気の条件)では、市販品Oリングが形状を維持できず粉々になったのに対し、開発品はその形状を保つことができた。
 さらに、低温特性に関してはゴム試験片を1・5倍に伸ばして凍結し、その後温度を上昇させ試験片が伸ばした量から10%収縮した時の温度を測定した結果、マイナス15度Cの低温環境下でもゴムとしての柔軟性を保持することを確認している。
 今回開発したSGCNTとカーボンブラックの配合比率、混錬・架橋工程は、さまざまな種類のフッ素ゴムに適用できる。そのためフッ素ゴムの種類を適切に選定することで、さまざまな応用用途に向けたOリングやゴム製シール部材の開発が期待できる。
 今後、産総研ではゴム製シール部材の量産技術の確立および成形金型のラインアップ拡充により、3年以内の実用化を目指す。また、今回開発した配合比率、混練・架橋工程を活用し、要望のある用途に対応したゴム製シール部材の各種成形品のサンプル試作や提供を開始する計画。

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このページは、web staffが2017年6月12日 13:35に書いたブログ記事です。

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