山陽特殊製鋼など、新炭素鋼を開発、硬度と靱性を高度に両立

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 山陽特殊製鋼は、コマツおよび大阪大学と共同で高硬度かつ高靱性な鋼材製造技術を開発した。新鋼材成分の開発とそれに適した熱処理技術の確立により、炭素を0・7%程度以上含有する鋼(過共析鋼)の硬度と靭性バランスの飛躍的向上に成功した。硬さと靱性という相反する鋼材特性を高次元で両立したことで、鉄鋼部品の小型・軽量化による輸送機器などの大幅な省エネ・排出ガス削減などが期待される。

 過共析鋼は、焼入れ焼戻しにより容易に高硬度かつ高い耐摩耗性を示すことから工具や軸受け、機械構造部品など幅広い用途で使用されている。しかし、高い硬度を有する一方で結晶粒界に沿って起こる破壊(粒界破壊)を起こしやすく、脆くき裂が進行しやすいなど靱性面に課題がある。
 研究開発では、過共析鋼を加熱した際の炭化物の消失過程を詳細に調べることで、靭性を劣化させる粒界の炭化物が優先的に固溶・消失する条件を見いだし、それをベースに粒界に炭化物がほとんど存在しない微細な焼入組織の形成に成功。このときに用いた粒界改質強化と結晶粒微細化を目的とした熱処理「粒界改質処理(GBA)」をベースに、鋼材の成分設計と処理条件を最適化することで700HV(ビッカーズ硬度)でシャルピー衝撃値100J/平方センチメートルという極めて高い靭性を実現した。これはモリブデン、バナジウムなどのレアメタルを多量に含有する合金工具鋼に匹敵する硬さと、その5倍以上の靭性に相当する。現時点では、さらなる改良によりレアメタルの使用量を抑えた成分系で最大約200J/平方センチメートルを実現している。
 開発した過共析鋼の高靭性化技術により、使用する部品や金型の強度、耐衝撃性、耐摩耗性、寿命、信頼性など複合的かつ飛躍的に性能が向上する。また、負荷がかかる動力伝達部品や軸受けなどでは使用条件に安全係数を加味した部品設計が必要だが、同技術の適用によりその必要性が無くなることから鋼材部品の小型・軽量化も見込まれる。さらに高硬度を維持しつつ靭性を向上させるためにレアメタルを多量に含有した鋼種を、レアメタルの使用量を抑えた成分系の過共析鋼で置き換えることでコスト低減が期待される。
 同社は高機能な差別化商品の開発をはじめとする先進的な独自技術の拡充に取り組んでおり、今後も積極的な技術開発を通じて市場における優位性を確保していく方針。

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このページは、web staffが2017年2月 9日 17:20に書いたブログ記事です。

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