ブリヂストン、IRで天然ゴム代替へ、構造・分子量を高度に制御

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 ブリヂストンが天然ゴム代替を可能とするポリイソプレンゴム(IR)の新重合技術を開発した。独自のガドリニウム(Gd)触媒により、天然ゴムに匹敵する分子ミクロ構造の規則性(シス率99・9%)の実現と求めるゴム特性に応じて分子量を均一かつ任意に制御することに成功。得られるIRは天然ゴムをしのぐ物性を有し、タイヤ材料として耐破壊物性と低燃費性能で天然ゴムを用いた従来材を上回ることを確認した。開発した新触媒は毎分1800個の高活性を有するほか、バイオマス由来のイソプレンを使用することができる。2020年代の実現を目指す実用化の取り組みでは、「社外のパートナーと一緒にやっていくことになると思う」(同社)。

 天然ゴムは引っ張り強度や耐久性に優れ、タイヤ材料では全体の25%超を占める主要素材。パラゴムノキの樹液から採集されるため収穫量が天候に左右されるほか、需要変動に応じた生産調整ができないといった工業製品としての課題を抱えている。同社は、拡大するタイヤ需要を背景に中長期的な天然ゴム資源の安定調達を目的とした研究開発を推進中。DNA解析をベースにした単位作付け面積の収穫量の増大をはじめ病害の予防技術や農薬開発といったパラゴムノキに関する研究のほか、グアユールなど新たな天然ゴム資源の実用化研究に取り組んでいる。
 IRは天然ゴムに近い分子構造を持つ合成ゴム。工業生産物として生産や品質が安定しているほか、加工性にも優れるが、引っ張り強度や耐久性に劣るため「天然ゴムを置き換えるまでにはいたっていない」(同)。今回開発した重合技術は、IRの高性能化により天然ゴムを置き換えを目的とした。実用化により、年間1200万トン規模を有する天然ゴム市場のさらなる拡大を狙う。
 独自開発した新規Gd触媒は、触媒構造を改良することで活性とIRのミクロ構造制御という相反する触媒性能を両立した。IRが取り得るシス、トランス、ビニルという3種類のミクロ構造のうち、ランダム性が強く柔らかいシス構造を99%以上の比率で合成することを実現。天然ゴムのほぼ100%に対し、人工的な合成ではこれまで94?98・5%が限界だったが、「この1%の違いが大きい」(同)という。また、分子量のコントロールにより強度や加工性といった物性を用途に応じて調整することも可能であり、「同じような割合でつなげられるのが特徴」(同)。新触媒によるIRを採用したタイヤ材料が燃費性能などで従来の天然ゴムをしのぐ性能を発揮できることを確認している。
 同社では、セルロースなどの糖分を原料に酵素技術によってイソプレン(モノマー)を製造する方法を開発している。バイオマス由来の原料にも適用可能な新重合技術との組み合わせにより、天然ゴムを上回る特性を持ったバイオマスIRの工業化が可能。同社は、天然ゴムの代替技術として高性能IRの実用化を推進する。

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このページは、web staffが2016年12月16日 16:47に書いたブログ記事です。

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