NEDO革新構造材料開発プロ(5)CFRP、市販車に適用拡大

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 軽量かつ高強度で寸法安定性にも優れる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。その特性から航空機やレーシングカーなどの構造材料として使用されており、燃費向上を目的とした車体軽量化ニーズの高まりを背景に、トヨタ自動車のレクサスLFAやBMWのi3など市販車に適用する試みが始まっている。CFRPの最大の課題は材料および加工コスト。現在の水準では輸送機器の構造材料で最大の市場規模を有する自動車(量産車)への適用は難しく、利用拡大のためにはコスト低減化技術の確立が不可欠。開発で後れをとると市場の覇権を奪われることにもなり、先行するわが国の優位性を維持するためにも不可欠となっている。

 「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトでは、消費電力とCO2排出量を半減し得る高効率な炭素繊維製造プロセスと量産プロセスに適用できる熱可塑性CFRP(CFRTP)の実現を取り組みの柱に研究開発を進めている。
 炭素繊維の製造プロセスでは、2015年末までの第1期で新規前駆体繊維として安価なポリアクリロニトリル(PAN)に溶解促進剤と酸化剤を添加し、耐炎化反応を液中で行うことで得られる溶媒可溶性耐炎ポリマーを開発。目標値である汎用炭素繊維と同等の特性(引っ張り弾性率235ギガパスカル、破断伸度1・5%)を確保しながら既存の耐炎化工程を不要としたほか、炭素化収率が高く、単糸直径が太い炭素繊維が容易に製造できるといった改善を図った。
 また、大気圧下でのマイクロ波加熱による炭素化技術と、ドライプロセスかつ極短時間で炭素繊維の表面性状の制御が可能なプラズマ表面処理技術の開発にも成功しており、一連の成果により製造エネルギーとCO2排出量の半減および生産性を10倍に向上可能な基盤技術を確立した。17年末の第2期では、引き続き評価手法の開発・標準化に取り組むとともにこれらの成果をベースに異形状炭素繊維の製造技術の確立を目指す。
 一方、CFRTPの開発は、LFT?D工法により炭素繊維/ポリアミド樹脂の中間基材を製造する名大プロセスと、CTT(テープ材)やCMT(マット材)などさまざま繊維形態を扱うポリプロピレン製の東大プロセスをベースに、車体の6割軽量化を実現する中間基材の製造にかかわる要素技術の確立に取り組んでいる。
 第1期において名大プロセスは、混練およびプレス成形プロセスに関する最適基本条件を把握したほか、フロアパネルの設計や金型・試作を実施するとともにサイドシル補強材設計に着手している。
 第2期では、複雑なボディ部材の成形技術や高速マテハン技術の要素技術、CFRTP使用部材同士の高速接合技術?など実用化に向けた取り組みを推進する。
 東大プロセスでは、開発した中間基材で曲げ剛性でスチール対比60%の軽量化と10メガパスカル以下でのスタンピング成形を達成したほか、単純形状部材において剛性でプラスマイナス5%、強度で同10%のCAE解析結果を得るなどの成果を上げている。
 第2期では制振性、静音性意匠性などの付加価値を向上させた中間基材の製造にかかわる要素技術や、スチールと同等以上となる量産品質保証技術、成形プロセスの最適化により不良率を1%以内とする手法の確立などを目指す。

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このページは、web staffが2016年7月 1日 17:04に書いたブログ記事です。

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