NEDO革新構造材料開発プロ(3)アルミ、合金特性向上へ

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 比重が2・7と鉄の約3分の1と軽いアルミニウム。比強度が大きく鋼材を代替する金属系軽量素材として、自動車や航空機、鉄道車両といったさまざまな輸送機器の構造材料として使用されている。国内では年間166万3000トン(2015年実績)のアルミ製品が輸送機器向けに生産されており、このうち155万1000トンがダイカスト部品を中心とする自動車用。自動車のアルミ化で先行する北米では、CO2排出規制の強化などを背景に、アルミ製パネル部材の1台当たりの使用量が12年の6・3キログラムから25年に61キログラムへ拡大するとの予想もある。

 「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトでは、構造制御技術などによる強度・延性を向上させた革新的な合金として、航空機の胴体・主翼構造材などへの適用を視野に7000系合金(アルミ?亜鉛?マグネシウム材)の特性向上に取り組んでいる。また、海外メジャー企業並みの低価格化を目指し、イオン液体を利用したアルミニウムの室温電解製錬の実用化研究を推進している。新製錬法については、実現すれば日本軽金属・蒲原製造所の電解事業終了(14年3月)で姿を消した国内アルミ製錬の復活はもとより、世界的にもアルミニウムの産業構造を変えかねないインパクトを秘めている。
 アルミ合金については引っ張り強度660メガパスカル以上(現状600メガパスカル)・耐力(降伏強度)600メガパスカル以上(同550メガパスカル)・伸び12%以上を目標に押出板および圧延板の開発を推進。15年末までの第1期では押出板で引っ張り強度694メガパスカル・耐力645メガパスカル・伸び16%、圧延板でも引っ張り強度690メガパスカル・耐力639メガパスカル・伸び15%と目標を大幅に上回る成果を上げている。これを受けて17年度末までの第2期では、目標値を引っ張り強度750メガパスカル・耐力700メガパスカル・伸び12%以上に設定してさらなる高強度・高靱性化を目指す。
 一方の室温電解製錬では、無水塩化アルミニウム(AlCl3)を使用して固体のアルミ箔の状態で回収する製法の確立に取り組んでいる。第1期において独自設計の連続電析実験機により長尺アルミ箔の作製に成功したほか、隔膜による不純物除去効果や浴組成、電流密度により合金中の元素含有量を制御できることを確認した。第2期ではパイロットプラントによる実証実験をはじめ、安定した高純度化技術および高融点金属の高濃度添加技術の確立、AlCl3系イオン液体の大量合成手法の開発に取り組んでいく。
 また、第2期からは強度と延性という相反する特性を両立するための複層アルミ合金の研究開発も本格化する。引っ張り強度400メガパスカル以上・伸び20%以上を目標に部品構造に適した板厚分布・強度分布を有するプレス材料(ブランク材)を実現しようというもので、これにより車体骨格部品へのアルミ板材の適用を加速する。

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このページは、web staffが2016年6月29日 17:02に書いたブログ記事です。

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