NEDO革新構造材料開発プロ(2)ハイテン、レアメタル削減

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 他の素材に比べて圧倒的なコスト競争力を有する鉄鋼材料。設計や加工・接合、評価・解析といった基盤技術の充実に加え、社会インフラを含むリサイクル性にも優れ、そのコストパフォーマンスの高さから自動車用構造材料ではメイン素材として開発が進められている。軽量化ニーズに対しては高張力鋼板(ハイテン)で対応。普通鋼材の引っ張り強度270?330メガパスカルに対して、同440メガパスカル以上のハイテンや同980メガパスカル以上の超ハイテンの採用が進んでおり、すでに冷間プレス向けに同1・2ギガパスカル級が、熱間プレス向けでは同1・9ギガパスカル級のハイテンが量産化されている。

 しかし、鋼板の引っ張り強度を向上させると一般的に成形性(伸び)が悪くなる。そのため高強度化により適用部位が狭まるほか、超ハイテンでは成形性を確保するために熱間プレスを要するなど使用面で制約を受けることが避けられない。また、特性向上の進展を背景にマンガンやクロム、ニッケルやモリブデンといったレアメタルを多量に添加する傾向にあり、コストや安定供給面からそうした製造方法からの脱却が課題となっている。
 「革新的新構造材料等開発」プロジェクトでは、軽元素(炭素およびホウ素、リン、硫黄、アルミ、シリコンなど)を活用することでレアメタル添加量を抑えつつ引っ張り強度と伸びを高いレベルで両立することを目指している。2015年度末までの第1期では中間目標として引っ張り強度1・2ギガパスカル、伸び15%を設定し、中高炭素鋼(マンガン量10%以下)で金属組織中の炭素濃度分布の制御により同1・2ギガパスカルで伸び26%を達成できることを実証。また、レアメタル添加量10wt%未満の中高炭素鋼の開発では、高炭素単純組成鋼をベースに軽元素を添加することで、同1・5ギガパスカルで伸び15%以上を可能とする理想組織を提示することに成功している。現状の590メガパスカル級ハイテンの伸びが20%であり、飛躍的な特性向上を射程圏内に収めたこととなる。
 今年度からスタートした第2期では、17年度末までにレアメタル添加量10wt%未満で引っ張り強度1・5ギガパスカルで伸び20%以上を目指す。伸びに関しては既存の1・5ギガパスカル級ハイテンの3倍の水準であり、実現により同等の伸びを有する590メガパスカル級ハイテンを置き換えられれば30%の軽量化が可能となる。
 同時に研究開発に必要な鋼組織の高速定量解析技術と鋼中のヘテロ構造と軽元素の空間相関評価技術を確立する計画。第1期において鉄鋼材料に含まれる炭素の含有量を世界最高精度の0・01%レベルまで定量的に分析できる装置「FE?EPMA」を開発したほか、結晶方位分布を1100度Cの高温で測定する技術の開発に成功しており、これら成果をベースに開発基盤となる解析・評価技術のさらなる高度化を目指す。

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このページは、web staffが2016年6月28日 17:00に書いたブログ記事です。

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