トヨタ、自動車ホースのゴムをグリーン化、経済性も確認

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 トヨタ自動車が、エンジンや燃料系のホースなどに使われる合成ゴムのグリーン化に着手した。新たに実用化したバイオヒドリンゴムはポリマーレベルで70%のバイオ化率を達成。石油化学系からの代替を実現する経済性も確保した。国内生産する全車種のバキュームセンシングホースの切り替えに加え、燃料系やブレーキ系ホースへの展開によりCO2削減を進める方針。1台当たり約300グラム使われるヒドリンゴムの全面置換も可能とみる。トヨタの取り組みにより、先行する樹脂に続き合成ゴムのグリーン化が本格的に進むことが期待される。

 昨年10月、同社は持続可能な社会の実現に向けた「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表。その中でクルマの走行や製造で排出されるCO2だけでなく、材料製造や廃棄・リサイクルの段階まで含めて排出されるCO2をゼロにする「ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」を掲げる。
 バイオマス原料への転換はリサイクルなどと並ぶ有力手段の一つと位置付けられ、バイオ樹脂は2011年発表の「SAI」で内装部品の表面積の約80%に使用するなどすでに量産採用ずみ。しかし、バイオ合成ゴムは今回が初めてであり、業界でもバイオEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)があるにとどまる。
 実用化したバイオヒドリンゴムは、原料であるエピクロロヒドリンを従来の石化系からバイオ燃料の副生産物である植物性グリセリン由来のものに置換した。日本ゼオンの開発技術であり、出発原料からの製造工程が石化系に対して短縮できるほか、既存のプラントをそのまま活用できるといった特徴を有する。
 同製法によって得られたヒドリンゴムは「分子量や異物成分の含有量などをはじめ、粘性や加硫といった特性まで石化系と全く同じ」(トヨタ)であり、従来材と混ぜて使うことも可能。そのためホース製造を担当した住友理工では設備面の対応はもとより「成形の条件出しにも苦労しなかった」(同)。
 開発では「ちょっとした差があった場合、その影響の見極めが必要」(同)であり、今回は世界初ということもあり約3年かけてポリマーおよびホースについて品質・特性の確認作業を実施することでホース製品で38%のバイオ化率を実現した。また、材料置換によるバイオ化では経済性が成り立つ場合が少ないが、今回はサプライヤーの協力のもと立ち上げロスなどを含めたコスト対応を実現しており「経済的に使用可能なことを証明できたのは価値がある」(同)。
 開発成果についてはコスト的にも「特許で縛るよりは広く使ってもらいたい」(同)との判断により、日本ゼオンおよび住友理工ともにトヨタ以外への販売が可能となっている。
 今後、トヨタでは燃料系やブレーキ系に展開することで国内での使用量の拡大に取り組んでいく考え。また、それ以外の合成ゴムのバイオ化に関しても「性能向上や新機能は期待していない。あるタイミングで置き換える場合は全く同じ方が良い」(同)との観点から、経済性が成り立つことを前提条件に取り組んでいく方針だ。

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このページは、web staffが2016年6月 3日 16:54に書いたブログ記事です。

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