2016年6月アーカイブ

 金属系軽量素材として利用拡大が期待されるチタンとマグネシウム。耐食性や強度に優れるチタンは、構造材料としてすでに航空機や自動車などで利用されている。資源量も比較的豊富だが、製造工程が複雑なため他の金属材料に比べて材料価格が高いのが課題。一方、比重が1・8と実用金属のなかで最も軽量なマグネシウムは、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)と並び次世代構造材料として注目されているが、構造材料として輸送機器で利用するためには化学的に活性で燃えやすい、加工性に劣るといった欠点をクリアする必要がある。

 比重が2・7と鉄の約3分の1と軽いアルミニウム。比強度が大きく鋼材を代替する金属系軽量素材として、自動車や航空機、鉄道車両といったさまざまな輸送機器の構造材料として使用されている。国内では年間166万3000トン(2015年実績)のアルミ製品が輸送機器向けに生産されており、このうち155万1000トンがダイカスト部品を中心とする自動車用。自動車のアルミ化で先行する北米では、CO2排出規制の強化などを背景に、アルミ製パネル部材の1台当たりの使用量が12年の6・3キログラムから25年に61キログラムへ拡大するとの予想もある。

 他の素材に比べて圧倒的なコスト競争力を有する鉄鋼材料。設計や加工・接合、評価・解析といった基盤技術の充実に加え、社会インフラを含むリサイクル性にも優れ、そのコストパフォーマンスの高さから自動車用構造材料ではメイン素材として開発が進められている。軽量化ニーズに対しては高張力鋼板(ハイテン)で対応。普通鋼材の引っ張り強度270?330メガパスカルに対して、同440メガパスカル以上のハイテンや同980メガパスカル以上の超ハイテンの採用が進んでおり、すでに冷間プレス向けに同1・2ギガパスカル級が、熱間プレス向けでは同1・9ギガパスカル級のハイテンが量産化されている。

 自動車をはじめ航空機や鉄道車両などの世界的な需要拡大を背景に、省エネや環境負荷低減を目的としたより効率的な輸送機器の研究開発が活発化している。エンジンやモーターといった動力機構の効率化とともに、軽量素材や異種材料接合などマルチマテリアル化を可能とする要素技術の開発競争が世界規模で繰り広げられている。国内では経済産業省の未来開拓プロジェクトとして「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトがスタートしており、産業の国際競争力に直結するその取り組みを紹介する。

 住友電気工業は、自動車分野において独自開発したマグネシウム圧延板材の用途開拓を推進する。新たに温間プレス成形および溶接によりシートフレームを試作。肩パイプ以外の板厚を1・5?2倍とすることで鋼フレーム並みの剛性を確保しつつフレーム重量が1・3キログラムと約60%の軽量化を実現した。マグネシウムは実用金属のなかで最も軽量であり、同社は材料置換による軽量効果を訴求することで構造材用途(プレス部品)での用途拡大を目指す。

 独ティッセンクルップは、独自開発した亜鉛マグネシウム合金メッキの国内提案を開始した。自動車鋼板向けの同メッキは、マグネシウム添加により優れた腐食保護性能とプレス工程における使いやすさを実現したのが特徴。内板部品はもとより外板部品にも適用可能な塗装外観を達成しており、すでに欧州で販売を開始している。その特性および性能により鋼板部品の低コスト化に寄与することから、同社では亜鉛メッキからの代替を働きかけていく。

 トヨタ自動車が、エンジンや燃料系のホースなどに使われる合成ゴムのグリーン化に着手した。新たに実用化したバイオヒドリンゴムはポリマーレベルで70%のバイオ化率を達成。石油化学系からの代替を実現する経済性も確保した。国内生産する全車種のバキュームセンシングホースの切り替えに加え、燃料系やブレーキ系ホースへの展開によりCO2削減を進める方針。1台当たり約300グラム使われるヒドリンゴムの全面置換も可能とみる。トヨタの取り組みにより、先行する樹脂に続き合成ゴムのグリーン化が本格的に進むことが期待される。

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