2012年9月アーカイブ

 クラボウは、複合材料の本格事業化に乗り出す。繊維強化熱可塑性複合材を、3年後の2015年をめどに売上高数十億規模の事業に育成する。同一素材によるリサイクル性、軽量化、高強度を強みに自動車の天井材や床材、輸送時に使用するボックス、物流関係などへの採用を見込む。また同社が新規事業の1つとして力を注ぐ高機能フィルムと融合させた製品なども検討する。

 三菱自動車は25日、食品廃棄物原料のバイオマス樹脂を用いた自動車部品を、群栄化学工業および新神戸電機と共同開発したと発表した。カシューナッツシェルオイル由来の耐熱性の高いフェノール樹脂で、まずは軽自動車用エンジンのオイルフィラーキャップとして今秋に製品化する予定。一般的なフェノール樹脂に使われている石油由来原料の一部を置き換えることで、化石資源節約と二酸化炭素削減が実現する。

 日本セラテックは、京信と共同でダイカスト技術による金属基複合材料(MMC)の製造法を開発した。新製法は炭化ケイ素(SiC)を混合した溶湯アルミニウムを金型により鋳造成形するもの。軽量・高剛性や高熱伝導性、低熱膨張といった特性を維持しつつ、加工レスによる複雑形状品の製造を可能としている。アルミ以上の放熱特性を有することからヒートシンクなどでの採用を見込む。同社では、低コストかつ高精度なMMC製造技術として普及促進を図っていく。

 軽量・低コストかつ安全性の高い新車開発を目指して高張力鋼板(ハイテン材)の多用化が進んでいる。近年発売される新モデルではハイテン材の使用比率(ハイテン比率)が50%前後まで高まっており、低燃費化が進む軽自動車ではホンダの「N BOX」がサイドパネルに590メガパスカル級ハイテンを採用、スズキの新型「ワゴンR」でも980メガパスカルのフロントピラーを実用化するなど、より強度の高い材料へのシフトが加速している。その背景にあるのが、材料開発とともにデザイン・構造設計の工夫と成形技術の高度化だ。

 東北大学金属材料研究所とニッパツは、チタン合金の生産性向上を可能とする新技術を開発した。「αプロセッシング」という独自の加工技術により結晶粒径を適正に制御することで、低温・高速変形できる合金製造を実現したもの。同技術により圧延製造したTi?6Al?4V合金では、従来に比べて約250度C低い温度条件で10?100倍の高速加工を達成している。新技術の開発により成形品の製造コストを半分以下に低減することが可能であり、チタンのさらなる普及拡大が期待される。

 古河機械金属グループの古河キャステック(東京都千代田区)は、アルミダイカスト製品の品質および生産効率向上を可能とする特殊鋼を開発した。新製品「トケナイト」は、特殊製法により素材表面にアルミ溶損に強い特殊皮膜を形成したもの。工程中に発生するアルミ溶湯への鉄分溶出(コンタミ)を大幅に抑制できる。製造工程に用いる治具類に使用することで、ダイカスト品の品質向上および治具類の長寿命化が可能だ。同社では、高品質・低コストを実現する新材料として提案していく。

 スズキがクラストップの低燃費を実現した新型「ワゴンR」を発売した。新モデルは、車両全体にわたる重量低減の徹底により最大70キログラムの軽量化を図るとともに、エネチャージやエコクールといった先進低燃費化技術の採用により軽ワゴン最高となる28・8キロメートル/リットルを達成している。新型アルト(30・2キロメートル/リットル)に続く低燃費車の市場投入であり、「8?9割がガソリン車の現状では当面の問題として必要」(鈴木修会長兼社長)との認識から、ガソリン車の燃費競争をリードする。

 ディーエイチ・マテリアル(DHM)は、エポキシ樹脂の対抗技術として、優れた疲労特性を持つ炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用の高靱性樹脂を開発した。炭素繊維との界面接着性、樹脂の分子量や組成を最適化することで実現したもの。粘度や硬化性の面でも優位な特性が得られる。CFRPは高強度で軽量なため、金属代替材料として期待されている。DHMではさらなる速硬化も狙いながら、早ければ2013年にも一部用途で事業化に移行したい考え。

 比重がアルミニウムの3分の2であるマグネシウム(Mg)。自動車など輸送機器の軽量・低燃費化ニーズを背景に、中国や韓国などが戦略材料と位置付け研究開発を活発化させている。国内でも10を超える研究プロジェクトが進行中であり、成形性や高強度化といった機械的特性の改善が図られている。また、課題である易燃性もカルシウム(Ca)添加による難燃化技術が進展しており、軽量素材として実用化の動向が注目される。

 ブリヂストンは、トラック・バス(TB)用タイヤの性能向上を可能とする独自製法を開発した。新製法はタイヤ本体(ケーシング)と表面のトレッド部分を別々に最適条件で製造し、それを後から張り合わせて一体化するもの。加えて、トレッド部分およびケーシングそれぞれに新開発のコンパウンドを採用することで、従来品に比べて大幅な転がり抵抗の低減と1・5倍以上の耐久性を実現した。工程数が増えるため製造コストは割高となるが、「補って余りあるほどのベネフィットが得られる」(同社)。すでに実地評価を進めており、早期実用化を目指す。

 住友ゴム工業は、独自の材料開発技術「4D ナノ デザイン」によるタイヤ用ゴムの高性能化を推進する。世界トップレベルのスーパーコンピュータ「京」を利用する研究課題として採択されたもの。これまで再現が難しかった材料中の分子・ナノレベルの構造から、タイヤ用ゴムの低燃費性能や摩耗性能などをシミュレーションする技術の確立を目指す。同社では、開発技術の高度化によりタイヤ性能のさらなる向上を推進していく。

 新日本製鉄は、難成形部品への超ハイテン(高張力鋼板)材の適用を可能とするプレス工法を開発した。新工法は、専用金型とシミュレーション技術による鋼材の挙動解析によりプレス時に発生する割れやしわを回避するもので、980メガパスカル級ハイテンでの複雑形状の成形が可能だ。従来の絞り成形法に比べて材料歩留まりに優れるとともに、成形荷重が大幅に低減できるといった特徴を持つ。このほどスズキの新型「ワゴンR」に採用され、軽自動車では初となる980メガパスカルハイテンによるフロントピラーを実現した。

 ホンダは、新たに貴金属使用量を大幅に低減した排ガス触媒と鉄とアルミの新接合システムを開発した。新触媒は、排ガスの還元浄化性能に優れるロジウムの一部を酸素の吸放出速度を高めたパラジウムに代替したもので、米カリフォルニア州の低公害車基準に適合しながら37%の低コスト化を達成している。一方、接合システムは摩擦撹拌接合(FSW)をベースに連続接合を可能とするもので、ミグ溶接と同等以上の接合強度を確保している。両技術は今月発売する北米仕様の新型「アコード」から量産車での採用を開始する。

 レニアス(広島県三原市)は、樹脂グレージングの普及促進を加速する。軽量化を背景に製品開発が活発化している自動車用途では、電力を必要としない独自の防曇技術の開発を進めており、電気自動車(EV)をターゲットにリアガラスの早期樹脂化を目指す。また、軽量効果の大きいバス用窓ガラスの樹脂化を狙いに大型品の成形技術の高度化を推進する。すでに建機用途では国内の実績をベースに海外展開を進めており、実用化技術の開発加速により同事業の規模拡大を推進する。

 クラボウは4日、岐阜プラスチック工業と共同で繊維強化ハニカム構造体を開発したと発表した。クラボウが新事業として展開を始めた繊維強化熱可塑性複合材「ネオマテックス?SW(サンドイッチパネル)」シリーズの新製品としてラインアップに加える。曲げ剛性や耐衝撃特性、2次加工性に優れる。表皮材やコア材にオレフィン系の素材を使い、リサイクル性も高い。両社は10月から販売を始め、物流や自動車、船舶、車両、建築材料、産業資材など軽量性や剛性が必要な用途への展開を目指す。両社合計で発売初年度に年間1億円、2015年度に同10億円の販売を計画している。

 世界的な燃費規制の強化を背景に新車開発における車体軽量化の取り組みが加速している。低燃費化の有効手段として実用化が進むハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)においても航続距離(電費性能)の観点から軽量化の重要性は変わらない。本連載では素材を切り口にポリプロピレン(PP)、マグネシウム、鋼材(ハイテン)、CFRP、樹脂グレージングについて取り組みの現状を紹介する。

このアーカイブについて

このページには、2012年9月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2012年8月です。

次のアーカイブは2012年10月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。