デンソー、インバーター冷却器、高度技術で一段と性能向上

| コメント(0) | トラックバック(0)

ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)など次世代環境車の普及には、インバーターの小型・低コスト化・高性能化が必要であり、その主要技術として冷却器の高性能化がある。デンソーは高度な生産技術をベースに冷却器のさらなる高性能化に取り組んでいく。

 インバーターは、直流電流と交流電流を相互変換する装置であり、HVやEVでは電池や回生ブレーキの電流でモーターを駆動・制御するために必須。一般的に電流を変換する半導体素子は基板背面の片側から冷却されているが、この設計では高容量化にともなう素子数の増加によりインバーターの大型化が避けられない。
 同社は、2007年に半導体素子を両面冷却できるように内蔵したパワーカードと扁平管形状の冷却チューブ(積層式両面冷却器)を開発。これによりPCU単位体積当たりの出力を60%向上し、従来に比べて体積で30%、重量で20%低減したインバーターを実用化した。同両面冷却器は、プレス加工した上中下3枚のアルミ板をろう付けによりチューブ化したユニットを複数組み合わせたもの。内部に凹凸に加工したアルミ板を挿入することで流路のマイクロチャネル化を実現しており、「チューブ本数の増減で容量に応じた冷却器を構成できる」(デンソー熱交換器開発部・稲垣充晴担当係長)のが特徴。また、チューブ両端を加圧により変形・圧着するダイヤフラム構造の採用により、パワーカードとの密着性を確保している。
 電子装置において短絡の原因となる液漏れは厳禁であり、これまでの水冷式冷却器では接合部のない鋳造材や押出材が用いられてきた。板材の採用にあたっては、素材を供給する住友軽金属工業においてチューブを構成するアルミ板の「腐食による冷却水漏れ防止のために各部材の電位を調整した」(住友軽金属工業研究開発センター自動車熱交材料開発グループ・山下尚希主任研究員)といった設計面での対応を図っているが、ろう付けや加圧・変形など組み立てに関する高度な量産技術が必要。車載用ということもあり、「量産開始以来、不良率ゼロ」(デンソー熱交換器開発部・山中章熱マネ・EHV担当課長)という同社の優れた技術により製品化を可能としている。
 同製品は大容量インバーター搭載ハイブリッド車を中心に、これまで累計16万台に搭載された。現在もマイクロチャネルを形成するアルミ板の形状変更で冷却効率の向上を図るなど、プレス加工を前提とした構造設計を積極的に活用した高性能化に取り組んでいる。現状では大容量に対応した唯一の車載用インバーターであることから11年以降も年間31万台に採用される見込みだ。
 なお、同製品はその技術的性能が評価され、「日本アルミニウム協会賞 開発賞」(デンソー・住軽共同受賞)、「自動車技術会 第59回自動車技術会賞 技術開発賞」(デンソー単独受賞)、「経済産業省 第3回ものづくり日本大賞 優秀賞」(デンソー単独受賞)を受賞している。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://27.34.136.204/cmt/mt-tb.cgi/2210

コメントする

このブログ記事について

このページは、web staffが2011年5月13日 19:48に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ダイセル・エボニックのPEEK、BMWのステアリングコラムに採用 」です。

次のブログ記事は「世界鉄鋼協会、次世代鋼製環境対応車体の設計完了、アルミ並みに軽量 」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。