2010年4月アーカイブ

実用化された素材・技術がある一方で、コストや品質の課題が解決できず開発が中断しているものもある。たとえば射出成形可能な耐熱性ポリ乳酸(PLA)樹脂。ジュート繊維とポリアリレート繊維を組み合わせた同PLA樹脂は、耐熱性および耐衝撃性で現行のポリプロピレン(PP)材料と同等以上の特性を実現しており、2009年1月に開催されたダカール・ラリーに参加したサポートカーのドアトリム(4部品)に採用された。しかし、長期の耐加水分解性が「10年程度なら問題はないが、15-20年となると難しい」(寺澤勇・開発本部材料技術部エキスパート有機材料技術担当)としており、量産車の材料として採用されるまでにはいたっていない。

 クラボウは、フィルム事業育成に本腰を入れる。新たにポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアセタール(POM)などのエンプラを使用した耐熱および摺動フィルムを開発した。すでに製品化しているポリイミド(PI)製フィルムなどに続き開発したもので、電子材料や自動車部品、食品容器といった幅広い分野に展開する。このほか、ポリカーボネート(PC)やアクリル(PMMA)樹脂を用いた透明フィルムの用途開発にも乗り出す。主力の繊維事業の販売競争が激化するなか、非繊維部門の主力事業の1つとしてフィルム事業を育成、事業基盤を強化する。

地球温暖化や資源問題を背景に、自動車の環境対応が急速に進んでいる。その取り組みはハイブリッド車や電気自動車といった車両の低燃費化にとどまらず、製造工程から廃棄段階にいたるライフサイクル全体の環境負荷低減におよぶ。植物由来原料を使ったバイオマスプラスチックは、素材レベルにおける環境負荷低減の有力な手段の1つ。他社に先駆けて電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の量産を開始した三菱自動車工業は、植物由来材料を利用した高分子技術を「グリーンプラスチック」と名付け積極的な研究開発を行っている。

 三協マテリアルは、マグネシウム鍛造事業の本格展開に乗り出す。合金製造工程からの一貫体制を強みに、AZ80合金をはじめとする自社製造の鍛造用合金により市場開拓を推進するもの。用途開発では、優れた機械的特性を活用して自動車や産業用ロボットなどをターゲットとした製品開発に取り組むほか、鍛造用合金の外部販売にも積極的に対応する方針。同社では、積極的な取り組みによりマグネ鍛造品の市場育成に努める。

 十川ゴム(大阪市西区)は、自動車用燃料ホースの環境対応を推進する。ガソリン用で日産自動車と共同開発した低透過燃料ホースの拡販に乗り出す一方、ディーゼル用ではバイオディーゼルに対応可能な高性能ホースを新たに開発した。さらなる規制強化やバイオ燃料の普及が予想されるなか、同社は保有する技術ノウハウをベースに、従来車種の環境対応をサポートすることで同事業の成長性を確保する考え。

 帝人は、高熱伝導性炭素繊維フィラー「ラヒーマ」の早期事業化を目指す。発光ダイオード(LED)照明部材に採用されたのを機に、同分野での用途開拓を本格化する。また、熱対策が緊急の課題となっている電子機器用途に加えて、電気自動車(EV)など自動車用途の開拓も視野に入れていく。今後2、3年内に年間約50トンのパイロットプラントをフル稼働させ、同500トン以上の量産プラント設置につなげていく。

 経済産業省は12日、「次世代自動車戦略2010」を発表した。自動車およびその関連産業、社会全体の中長期的な対応のあり方に関する新たな戦略として、有識者による研究会を設置して検討。世界の自動車市場の構造変化、環境対応をはじめとする自動車産業を巡る外部環境の変化などを踏まえ、技術開発やインフラ整備などの課題についても産官学の認識を共有し関連産業全体の国家戦略としてまとめた。6つの戦略で構成され、全体戦略のほか、緊急性を要する電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)に関して電池、資源、インフラ整備、システム、国際標準化それぞれの戦略とそれに基づくアクションプランおよびロードマップを盛り込んだ。

 スターライト工業は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製板状成形品の用途拡大を推進する。軽量・小型化や高剛性といった市場ニーズに対応して、各種機器の筐体や外板といった構造材用途などで潜在需要の掘り起こしを進めるもの。同社製品は、多様なクロスデザインによりニーズに応じた物性の調整が可能。その品質の高さから、製紙分野では異物除去ブレードなどとして高い採用実績を有する。同社では、用途分野の拡大を通じて同製品のさらなる成長を目指す。

 電気化学工業は、アルミナ短繊維「アルセン」を欧州で拡販する。2012年には、欧州で自動車の次世代排ガス規制「ユーロ6」がスタートし、排ガス処理装置周りでの需要増が見込まれている。同社は、提携先のアルミナ繊維メーカー、英国サフィルを通じて欧州の自動車メーカーへの提案を強めており、アルミナ配合比率や結晶化率を顧客のニーズに応じて設計できるといった小回りの効いた提案で、採用拡大を狙っていく。現在のアルセンの販売比率は自動車向けが5割強だが、欧州での拡販推進により、3?4年後には自動車比率を8割に高めたい考えだ。

 出光ライオンコンポジットは、電気自動車(EV)の軽量化などに貢献するエンジニアリングプラスチックのガラス長繊維強化複合材料を開発した。従来の短繊維強化グレードと比較して耐衝撃強度などの各種物性が高まることから、成形品のさらなる薄肉・軽量化が可能となる。EV用の電池ユニット周り部品向けなどに提案していく方針。同社ではさらに、各種ポリマーのブレンド技術と、炭素繊維を含む各種繊維との組み合わせによる新規高機能材料の開発も進めていく考え。

 横浜ゴムは、リトレッドタイヤ(更生タイヤ)事業を強化する。高まる市場ニーズに対応するため、新たに多品種生産に適したプレキュア方式の生産に乗り出す。現在、グループのリトレッド生産工場で量産開始に向けた準備を進めており、今年中に商業化する計画。長引く不況や環境規制の強化を背景に、国内のトラック・バス用タイヤにおける更生タイヤ比率は、現在の10%強から拡大することが見込まれている。同社は体制強化により拡大する市場ニーズを着実に取り込んでいく考え。

 産業技術総合研究所(産総研)は、高速反応焼結法と、それを応用した緻密質窒化ケイ素セラミックスの作製技術を開発した。二酸化ジルコニウム(ジルコニア)を添加することにより、窒化ケイ素粉末に比べて割安なケイ素原料を使用しながら、窒素雰囲気下で高速に反応焼結できる。従来法に比べ、反応焼結時の昇温速度を最高で80倍に高められるため、生産コストの大幅な低減につなげられる。また、高速反応によって得られた反応焼結体を二段焼結によって緻密化した場合、従来製法による窒化ケイ素セラミックスと同様の強度を実現できる。

 SABICイノベーティブプラスチックスは1日、高い耐熱性や耐候性、流動性などを兼ね備えたポリカーボネート(PC)コポリマー「LexanXHT」を開発、本格的な用途開拓を開始したと発表した。独自の共重合技術を駆使し開発したもので、ポリアリレート(PAR)樹脂や耐熱性PC樹脂などの競合素材に比べ、高い耐候性や難燃性を有しているほか、流動性を約30%向上させているのが特徴。すでに自動車照明用途に採用されているが、今後は電気機器や医療機器といった自動車分野以外にも用途を広げていく方針。

 京都大学エネルギー理工学研究所の鈴木義和助教は、第3世代のディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)材料に向けた新規セラミックス材料を開発した。低熱膨張、低コスト、高耐熱性、高強度を同時に満たす材料として、MgTi2O5およびMgTi2O5/MgTiO3多孔質複合材料の2種類に着目。以前から第3世代DPFとして開発が進められている等軸状粒子による3次元ネットワーク型多孔質複合材料に比べ、高靭化や圧力損失の低下が期待できる微細構造を得ることに成功した。今後、造孔材の添加や原料粒度の制御により、DPFへの応用に向けた細孔構造の最適化に取り組み、5年以内に実用レベルの実現を目指す。

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